2022年10月10日14:15聖人君子
こんにちは。今日も日直中です。今日の午前中は珍しく慌ただしくて、立て続けに2名看取りました。どちらも90代で1人は大正生まれでした。大正ってすごいな。ん?もしかしたら当院にはいませんがどこかの病院には明治生まれがまだおられるんでしょうね。明治、大正、昭和、平成、令和と5つの時代を見てきたんですね。生活や環境あらゆるものが随分変わったんでしょう。
しかしスタッフ達も看取りは慣れているはずなのに、いざレートが下がり始めると焦って当直医のピッチを鳴らしてきて、「先生、早く来て下さい!!」と言ってこられます。行きますよ、行きますけど行ったところでできる医療行為はありません。DNARはもちろんですが、このくらいの年齢になると老いが進行しすぎていて素人目で見ても分かるくらいには何をやっても救命は不可能です。すべての生き物は死にます。死ぬというと悪いイメージがありますが、命の営みの1つで自然のことです。良い悪いではないのですがいざ死が迫っているのを見ると何とかしなきゃという焦りになるんでしょうか。
先日、主治医が急遽休みのためその日1日の代診をお願いされました。代診というのは難しいですね。すべての初診患者をそれぞれ5分で診察しろと言われているようなものです。その患者のカルテを遡って読み返してみても、経過が長すぎて読み切れないし、ほぼ主治医しか読まない体で書かれているため患者の概要が分かる記事もなく、情報不十分のまま初対面の患者に対峙します。本当はあまり喋りたくはないのですが無言では診察にならないのでいくつか質問しなるべく患者に喋らせて無難に捌いておりました。無難に・・・、のつもりでしたがそれでもたった1人地雷を踏んでしまいました。私のちょっとした質問だけで泣き始め、落ち着くまで一旦そっとしておこうと別スタッフにお願いし別室を案内していたところ、そのスタッフもまた過剰に優しくなだめすぎたためもあると思いますが、それがむしろますます感情を高ぶらせ、幼稚園児のように大声を出すようになりました。その後数分ですぐ落ち着いて帰宅していきましたが、この患者さんはよく癇癪起こす方なんですよ、というフォローを看護師から頂いている中、その日たまたま来ていた聖人君子みたいな心理士が患者を傷つけたと私を責めてこられました。確かに私のせいでこのようなことになり、傷つけてしまったことは謝ると、そして内省しより疾病理解・患者理解に努めるとその心理士に伝えたのですがなかなか納得してもらえず、その心理士と30分ほどやり合って疲れました。私は今回の件に限らず、もし意図せずとも患者を傷つけてしまった場合は本当に申し訳なく思います。内省し次に活かす努力をします。ただ今回のようなことは対人感情のことなのでどれだけ気をつけていても誰でもいつかはまた起こりえることで、そこまで強く責められることかなと。しかも代診で信頼関係ができていない中で診察するという難しいシチュエーションで完璧は求められませんよ。このようなことも想定内にしておいてもらわないと代診は引き受けられません。
・・・と今回も愚痴になってしまいました。もっとポジティブな記事を書きたいんですが精神科ってあんまりないかもしれません。いや、本当はいっぱいあるけど私がなかなか見つけられないのかもしれません。まぁいいや。今は自分にも内的葛藤がありますからね、この際いっぱい悩みます(..;)