2021年07月
2021年07月18日16:45粗相
単科の精神科病院だと当然と言うべきか、当院でも精神科の医師が圧倒的に多く、あと神経内科の医師がちらほらいる程度です。しかし入院している患者さんはたくさんいますから、精神症状以外の訴えも多岐に及びます。お腹が痛い、足が痛い、ここに皮疹ができた、痒い、転倒した、などなど。そう訴えられると必要なのは総合診療的な身体の基本的な診察能力です。3年目といってももう1人当直もしますから急変時の対応も必須です。DNARの方が多いとは言え、ABCの管理はできなくてはいけません。現状は内科疾患を誰かに相談できる環境ではないので非常に困っています。おじいちゃんドクター達に相談しても特にアドバイスはなく、経験的に対応してるみたいですね。仕方なく他院に紹介しようとすると、そんなことで紹介すんなと言われますし、じゃあ痛みを訴えてるこの患者はどうするんだよー(`Д´)。アンダートリアージよりオーバートリアージの方がいいでしょうが。私自身も他人に頼っていないで総合診療的な診察能力をもった精神科医を目指すべきでしょう。ただ私の近くにはそのようなロールモデルとなる精神科医はいません。そこで今の勤務先と交渉しまして、週1回総合病院へ内科の研修に行かせてもらうことになりました。専門医プログラムというのはよく調べましたら週4日32時間以上勤務していないと研修としてみなされないようで、逆に言えば週5日週40時間働いてなくてもいいんですね。よかったー、私みたいないたいけな研修医上がりの医者がここにどっぷり浸かるのは心と身体にあまりよくありません。
総合病院では総合内科で週1回、朝のカンファから参加し、病棟回診や外来見学と結構自由に勉強させてもらっています。定時上がりが当たり前になっているような私も珍しく意欲を駆り立てられまして、先日、事前にカルテチェックして予習しておこうと夜間に総合病院への侵入を試みたんです。何の前知識もないままカンファに出てもよく分かりませんしね。ただその病院、敷地は広いし建物もバカでかくてですね、暑いからか、おっさんだからか、敷地内を歩くだけで疲れます。ところが…、夜間はセキュリティ万全でどこの入り口も鍵かかってました(当たり前か)。テンキーがあるので番号入力すれば解錠できそうですが、暗証番号知りません汗。こりゃしまったなと思って病院の建物を半周ほどしたその頃からです、突如下腹部痛が襲ってきたのは。ん?こんなときにまさかのう○こ?いやいやさっきまでやったらいつでも行けたやん?なんでなんで?と自分自身に怒り心頭になりますが排便信号の強度は増すばかり。困ったなぁ(>_<)そういえばさっきからおしっこも我慢してたんですよ。もうすぐ病院に着くからいいやと。しかし体内の色んな警告が発令される中、焦れば焦るほど建物の入り口も見つけられず、本丸の建物を見捨てて別の建物に行っても空いておらず。夜だし誰も歩いてもいません。人間って心理的にだいぶ左右されるんですね。例えばあと100メートル先にトイレがあることを知っていたとしましょう。そうすると人間はそこまで行けば出せるからと自分に言い聞かせてそこまではなんとか心理的に排便痛を我慢できるんですよ、たぶん。しかし知らない場所で、トイレがどこにあるかも想像もできないとき、つまり数分以内に安心して排便できるという見通しが立てられないとき、絶望感により便意は我慢の限界点を超えてしまうんですね。あのときは絶望と言う言葉がぴったりでした。その辺はもうあまり記憶がないのですが、ああ、自分は今からここで果ててしまうんだなと。結局近くの手頃な草むらの中で野糞しましたよ泣 あーあ、こんなこと何十年ぶりかなぁ、いや記憶にないわ。さっさと立ち去りたいところでしたがその後も暗闇の中で私はしばらく放心状態でした。次はこんな失敗はしたくないので検証しときたいのですが、今回の敗因は何だったんでしょうか。車で道路を走っていればコンビニもあるし、昼間だったらお店も開いてます。でも夜に、セキュリティの高いよく知らない病院という広い敷地に迷い込んだのが運の尽きでしたかね。今回の場合は被害者はわたくしおっさんで、特にもう恥も外聞もあまりないのでまだ良かったのですが、外聞を気にする教授であるとか、若いぴちぴちギャルであるとか、そういった人種の方々であったらこのような時どう対処したのでしょうか。高尚な教授が野糞してるシーンなど想像すらできないのですが…。
本日後半は医学にすらまったく関係ないお話で失礼致しました。