暑くなりました。これで人生一体何十回目の夏なんだと思ったその時ふと、あれ、自分はもう逆にあと40回くらいしかこの夏を経験できないのではないかと思いました。平均寿命を考えると人生折り返し地点を迎え、人生の残り時間をいかに有意義に過ごすかを考えないとなぁと。まぁもう充分ですけどね。自分のやりたいことはだいたいやってきました。勉強もスポーツもそれなりにやってきたし、淡い恋をして切ない思いも何度かは経験できましたし、好きな仕事をしながら海外で暮らしたこともあるし、念願の医者にもなれました。医者としてはまだこれからですし、せっかく自分に与えられた特権でもありますから自分の人生の残り時間を患者さんのために使おうかなぁとは思います。家族ができればまた生きがいができるかもしれませんが、うちは飲んだくれですぐブチ切れる父と父至上主義に洗脳された母で幼少時より両親からの愛情を感じることがあまりなかったので、家族愛とはどんなものか想像がつきません。
さて精神科医をやっていますと、家族との関係を悩んだり後悔してる患者さん多いです。例えばアルコール依存、ギャンブル依存などで家庭を壊して、自業自得なんですが、家族に見放された後一人で生きてきて老いて孤独な人たち。家族にはもう会ってもらえないですが本当は会いたいようです。そして病状落ち着けば施設送りになります。その施設でいよいよ衰弱となった場合の最終的に行き着くターミナル病院のようなところに月1回お願いされてアルバイトに行っています。回診に行くと、衰弱してても体を動かそうとするんですかね、ベルトを巻きつけられ身体拘束もされています。1日中することもないので拘束されたまま寝ているだけです。そんな患者さんが1部屋に4人ずつ横たわっていて、フロア丸ごとそんな光景が広がっています。もう私には地獄に見えますね。看護師さんたちも大変です。仕事のメインは病棟を回ってのおむつ交換になっています。私が看護師なら別の病院で働きます。私が院長ならその看護師さんたちには特別手当を支給します。このバイトは楽なんですけど、もうお金にそこまで困っているわけでもないですし、医師として成長できるかという点では「?」なので近々辞めます。そういう事実にも目を背けてはいけないんでしょうけど、なんかこちらまで心が暗くなります。
総合診療科も、いや小児科と産科以外はすべての科が超高齢化しています。総合病院で患者一覧を見ましたがほとんどがおじいちゃんおばあちゃんです。そりゃ若い人はあんまり病気にならんでしょうけど、それにしてもと。70代が若いなぁと思えるほどですからね笑 そんな私も数十年後にはその仲間入りですけどね笑
ちなみに私はここ数年カラオケには行った記憶がなくて歌も下手くそなんですが、一人の患者さんが私と一緒に歌えて本当に嬉しかったとの涙を流して喜んでくれました。医師という仮面をかぶっていると、当然ですが患者さんは私をお医者さんと認識してくれます。私はしがないおっさんなのですが、お医者さんと一緒に歌を歌えたという何か特別な体験をしたかのように錯覚するようです笑 精神科あるあるかもしれませんが、病棟に行くと患者さんが数名わらわらと寄ってきて私に握手を求めてくるのですが、ちょっとしたヒーロー気分になれます笑 ディズニーランドにいるミッキーについても同じ感じじゃないですか。世の女子高生たちはディズニーランドという特別な場で錯覚を起こし、ミッキーを見つければ抱きついて喜んでいますが、よく考えてみてください。中身はただのおっさんかもしれないですよ笑
彼女の実家は典型的な田舎の大家族という感じで、おじいちゃんおばあちゃんやご両親、弟、弟と半同棲してる彼女、犬、猫などがいてホントにぎやかな家庭でした。お寿司を頼むときも10人前とか一気に頼んだりと買い物も豪快で楽しかったです。その一方、私がおっさんのせいで彼女との年の差が20歳ほどあり、違和感もありました。まずお母さんとの年齢が近いです笑 かろうじてお母さんの方が年上ですが5つくらいしか離れてません。第三者から見たら彼女とではなくお母さんとつきあう方がお似合いでしょう笑 弟や弟の彼女なんかまだ10代ですからね、弟の彼女のお母さんより年上で、そんなおっさんが自分のお姉ちゃんの彼氏とかどんな感じなんでしょうか。そんな若いご両親や若者たちに囲まれて私も一緒にこたつに入りながら、自分はかなり場違いなところにいるんじゃないかと冷や汗かきました。彼女も私みたいなおっさんのことを恥ずかしげもなく「私の彼氏―!」などと紹介してくれるので私の方がとても恥ずかしかったです(〃ノωノ) でも家族みんなでお笑い芸人のテレビ見ながら笑い合う時間は楽しかったなぁ(^o^) 私はそんなささやかな楽しさをも犠牲にして今まで生きてきたんだなあとしみじみしました。お風呂も1人1人が順番に入ってたら時間がないので2人ずつで入ってたんですが、さすがに私は彼女の初実家で普通に一緒に入るわけにはいかないと、またそもそも誰かと一緒にお風呂に入るということ自体恥ずかしいと思う年頃ですから1人で入ろうと思っていたんですが、彼女が「お風呂一緒に入ろうね!」と平然と言うもんですから恥ずかしくてもう訳が分からんかったですよ(〃ノωノ) 娘みたいな若い子と一緒にお風呂に入ったことは近年の我が人生の記憶にございませんし、おっさんを引き連れてお風呂場に向かう娘に対してご両親は一体何と思われてるのかなと罪悪感を感じました汗 もうね、いやらしさなんて何もなかったです。無事にお風呂に一緒に入るというミッションをクリアしただけです。ただその後お父さんお母さんも2人で一緒にお風呂に入ってて、笑い合う声も外まで聞こえててほほえましかったですね。家族の中だといやらしいように見えることもいやらしくなくなるから不思議です。こんな幸せな時間をくれる彼女には感謝しかありません。
本日(5/31AM11:00)は関連の施設で日直です。
それにしても良い天気です。暑くもなく寒くもなく花粉もなく、今が1年で1番良い季節じゃないでしょうか。こんなに良い天気だと活動性の低下したおっさんの私もことあるたびに病院の屋上に出て、遠い景色を眺めながらよくある医療ドラマの俳優になったような気分に浸っています笑 ↓屋上からの写真です。
え?日直の仕事中なのにブログ書いてるのかって?
そうです。この業界には寝当直という言葉がありますがその日直版です。1日で多くても2、3回電話がかかってくるかどうかです。といってもこんな良い天気の真っ昼間にばっちり目の覚めた状態で寝ることもできませんから、当直室という個室に閉じ込められて外出することもできずぼっちでこうやってブログを書いたりネットサーフィンしながら過ごしています(さみしい…)。
日直をすると精神科の闇が見えてきます。
まずナースがやばいです。はっきり言って医者もですが苦笑。
基本的な医学知識がありません。おそらく脈拍のことを「プルスが〜」と言い出すし、不整脈の既往はあるか聞きましたら突然橈骨動脈を触り出して、「ありません」と答えるし(そんなんで分かるかいな)、「虚血性心不全の既往はなさそうです」とか、そういったもはやコントと言えるものには枚挙にいとまがなく、いちいち腹が立ちます。
そもそもコンサルでかかってくる電話の主旨もよく分からなくて、「○○さんの件ですが、昨日からこんな様子で〜ご飯はあんまり食べれてなくて〜でも本人は食べたくないわけでもないみたいで〜、血圧は〜、プルスは〜…」と延々と続きますので仕方がないので「んで、ご用件は?」と遮って聞きましても「いや朝ごはんは食べさせていいのかなと思いまして…」などと仰います。じゃあ「食べされられないのではないかと思った根拠は何でしょうか?」を聞いても口をつぐみます。「今回のことに限らず、用件も分からない状態でそんなに長く矢継ぎ早に話されても私も分かりませんから先に聞きたい用件を言ってから状況を教えてもらえますか?そうするとそういう観点で状況を聞きますから。」と言ってみましたが、通じないですね。先生、私はこんなに一生懸命状況を伝えてるんですよぉ?と言わんばかりでしたね。
こんなんで他の先生はどうしてるのか・・・、適当にあしらってるみたいですね。終末期だからでしょうかね。発熱があれば解熱剤、ちょっとひどそうであれば抗生剤を適当に、って感じです。熱源検索とかありませんからね、ホントびっくりです。てか、エコー当てたり心電図1つ取るのも大変なんですよ。看護師が慣れてなさすぎて、はぁ?心電図ですかぁ?遠くから持ってきてもらわないといけないから時間かかりますよぉ?とかエコーなんてどこにしまってあるのか分かりませんねぇ、とか。いやいや胸痛訴えとるんやからすぐ取ってあげてよ。時間かけてる場合じゃないで、オバはんナースよ。
また仮に抗生剤(点滴)入れようとしても種類が少ないし、その割には見たことないのばっかりなんですよ。トブラシン:アミノグリコシド系とか、スルペラゾン:セフェム系にβラクタマーゼ阻害薬配合したのとか、パンスポリン:第二世代セフェムとか。あとはめっちゃ広域のしかないんで、もう笑っちゃいます。セフトリアキソンとかセフメタゾールとかもっと普通の採用してよ。スルペラゾンとかトブラシンってどんな時に使うの?パンスポリンは経口移行時はどうするの?誰か教えてください(岩田健太郎先生はスルペラゾンはほとんど使わないみたいです。トブラシンは緑膿菌に使えるみたいです)。
先ほどはナースから電話がかかってきて点滴の刺入部が腫れてますのでとにかく来てください、ってことでしたので見に行きました。PICC留置されてましたので「あぁPICCか。」と呟きましたら「ぴっく??」とナースがきょとんとしています。PICCという単語も知らないし、もちろんその患者さんがいつどこでPICC留置したとかそういうことも把握していません。「先生これね、こうやって点滴繋いで栄養入れるやつなんですよぉ〜。」とご丁寧に説明してくれましたけど、本当にこいつらナースかと思いますね。
今回もまた毒を吐きまくってしまいましたが、私の心の中にはそろそろ焦燥感というものが出現してきております。このままだと私もヤブ医者へ一直線です。お給料は貰えるからとはいえ、おっさんとは言え、この現状で満足するのにはさすがにまだ早すぎるでしょう。ちょっと私も善後策を練りたいと思います。